心療内科の日

薬をいつもより多めに貰いに行く。先生は「はじめてのアメリカで一ヶ月も大丈夫?」と普通の反応をした。「銃が規制されてないからね、気をつけてね」と、だれにでも言えそうな助言をくれた。このくらいのことなら、僕にも心療内科医が勤まるかもしれない、と時々思うのだが、様々な性格と性質と背景をもつ何人もの患者たちの報告に毎回、だれにでも言えそうな普通の言葉を掛けてやるのは、もしかしたら並大抵の仕事ではないのかもしれない。だれもが少しずつ脱線していて、ずれていて、先生だけが標準であろうと務めている。これはこれで放り出したくなるような役割ではないか。そういえばうちの先生は、「普通の反応をしてあげるのに疲れ果てたよ」という顔をしているかも。こっちが撫で撫でしてあげたいくらいだ。みんな撫で撫でしてあげるべきだ。ついでに実家に寄ってみたら、父さんも「敬語の本」を持っているとのことだった。語学が大好物の彼にしても「あれはいい本だね」と教えてくれた。ここは主に家族と友人が読んでいる。もちろん会ったことのない友人もいるとは思います。おやすみなさい。

小風景