私の余生

二階の窓にパタゴニアのブランケットを掛けてから冷え込みが柔らかくなったので、毛布を巻いてキッチンの床に坐りこまなくても朝の仕事がしやすくなった。合間、合間で煮込みハンバーグの残りを熱してたべていたら、なくなってしまった。十時くらいには日射しが温かい。お茶を入れ直したり、キッチンの掃除をしたりした。

プールに行こうかなと思いつつプロレスを眺めていたら妻が起き出して、大きなセラドングリーンの皿にキャベツの入った焼きそばを作ってくれた。彼女は一時半まで眠っていた。向こうの世界でたっぷりとうるおいを受け取ってきたようで、殻をむいた卵みたいだった。思いつくままに気の利いたことを口にしたり、また眠ったりしていた。

私は心療内科でもらった薬を一錠飲んでからハングアウトでの会議にのぞんだ。仲間の一人はケルンからロンドンに帰ってきたところだった。一人の取締役は十五分ほど遅れてどこかの共同作業場から参加した。私はミーティングの冒頭で近況を手短に報告したんだけど、状況はそんなに悪くないと思う。それなりに真摯に、老獪に事に当たっている。

これが私の余生の水曜日のようすで、これがいつまでつづくは知らないけれど、なんだか余生みたいに感じている。これでいいなと感じているし、なにかが起きることもそんなに期待していない。それなりに、なにかは起こるだろうから準備もしている。少し憧れる年金生活者みたいな気分に、家計簿をつけ始めたことが拍車をかけているかもね。