基礎教養

時々上映会をしていた、市川崑による金田一耕助シリーズもついに第五作〈病院坂の首縊りの家〉を見終えた。いつもながらお化け屋敷みたいなタイトルですが、冒頭から横溝正史夫妻が純朴な演技をしていたり全編にジャズが疾駆していたりとけっこう、ライトで見やすい一作だったかもしれない。遠い昔に基礎教養として見ていると思うけど忘れていた。今日も途中から将棋の中継を覗いたり机上のレイアウトをあれこれしていて、ちゃんと見ていなかった。こういう当然見ているべき映画を片端から見ていく時期というのが人生にはあって、ぼくも二〇代半ばくらいまでに大体履修したと思うけれど、今考えてみてもやっておくといいと思う。たぶん妻はそんな時期にいる気がする。おもしろおかしいカルチャー研究については、わたくしに一日の長がありますから、メンターとして少しはお役に立てるかもしれない。今考えるとやらなくて良かったことまでやってるから、その点に於いても彼女に注意を喚起できるというわけ。あと二〇年経った先のぼくがやらなくて良かったと思いそうなことを明日からやめてみる、という視点もあるかもね。

小風景