トラックに鉄材積みあげるおとこの腋の下から見えかくれする富士
沖ななも
じゃ、きょうも短歌みていこうか。
この一首、最初になんだこれ、と思ってからずっと気になっていて、いまも気になっている。「そこ、さいごに富士山見える必要ある??」と、椅子からずり落ちそうになるような、気が遠くなるような感じがあって、「トラックに鉄材積みあげるおとこ」だけでもだいぶ汗臭いのに、彼のわきの下越しに富士山が見えるという、どんな風景だよ、とつっこみたくなる、むせ返るような男祭り感がある。この、むせ返るような男祭り感だが、わざとらしい印象はなく、むしろこの汗臭い光景にふんふんと鼻息を荒くしながら調子よく詠んでいった沖ななもさんが浮かんでくる。やっぱりちょっとへんな人なんだろうけど。それを素直に詩の形にできるのが素敵。