何のレシートか知らず、ポケットにあるを指先でときおりいじる
沖ななも
こんな短歌もありました。
一九八六年の歌集〈機知の足首〉から。
こまかいことをいいますと、ぼくが見ているのは一九九一年刊行の〈木鼠浄土〉という本で、沖さんの初期の歌が抄録されているのですが、この本に載っている歌はどれもすばらしいと思う。〈機知の足首〉とともに最初の歌集〈衣装哲学〉はなかなか手に入れるのがむつかしそうな本だけど、いつか見てみたいと思っている。名前もかっこいいし。このレシートの一首は、今ではツイートで目にする感性かもしれない。こういうのってよく見る言葉で、ぼくはけっこう好きです。それも「だれも見てなさそうなひとりごと」みたいなのが好きです。こんな言葉が沢山見つかる世の中で、短歌の形をとる意味があるのか?それは知りませんが、今は好奇心でどんなものか、いろいろ見て回りたい、という感じ。