九月 たとえば丸椅子の置場を変えるさりげなくまた確実に
沖ななも
この短歌、いいでしょ。
九月になったら使おうと思っていたのですが、何日か間が空いてごめんなさい。ニューヨークのブルックリンに到着して、家を借りてこれから二ヶ月間滞在しようと思っていて、部屋や歩いていける街の様子なんかを、おっかなびっくり確認していました。仕事で来ている訳ではなく、この詩で言うなら「丸椅子の置場を変える」気持ちで動いてみたんだけど、ちょっと動かしすぎちゃったかもしれません。てへへ。ここがどんなところなのか、恐る恐る観察しているものですから、何から書いていいかも分からない。手始めに地下鉄に乗ってメトロポリタン美術館へ行ってみた。最初は空いていた車両に、マンハッタン島へ近づくにつれて次々と、それぞれに暗く沈んで、精悍な顔の多彩な都会人たちが乗りこんできた。このときのね、一つ一つの駅のドアが開くたびに注ぎこんでくる、路上の生命力みたいなものに、久しぶりに熱いものが込み上げてきました。