夏立ちし
瓶につゝじの
花古き子規
立夏という言葉があって、五月のことみたいだから一ヶ月前の話になるのですが、これから暑さが立ち上がってくる頃になっても未だ鮮やかに涼しい句だと思ったから書いてみた。つゝじの花ってよく舗道の植木なんかに見かけるけど、私的な印象としては南国の花みたいな天国感もあって。それでいて柔らかくて繊細なかたちをしていて。「花古き」というのは、しおれかかっているんだろうか。一輪挿しの花が摂理として弱っていくのって、それはそれで、むしろそこを見届けてるようなところがあって。まだ大丈夫かな、って慥かめてるようなところがあって。夏が立つというベクトルと、花が古いという逆向きのそれが、一つのガラス瓶の内に鑑賞される風景が、やさしくて、上品で、涼しい。