夜濯に
ありあふものを
まとひけり暁水
ひとことで風景の浮かぶ言葉。夜濯(よすすぎ)って、わかりますか。夜になってから洗濯することで、夏の季語だそう。ひとり暮らしで夜に洗濯機を回すのはたのしい。静かになってからせっせとこなすのが、家事を片づけちゃう私、みたいな気分だし、ごうごうという規則的な音や振動に、心落ち着くものがある。こっそり孤独を満喫する時間。なぜか高揚してきたり。パンツを一つ一つ干していくうちに、あたまがすっきりして、整理される。澄んでくる。たしかに夏の夜、風にあたりながらベランダに立つのは、どの季節よりもうるおう。いいよね。あれもこれも洗おうとして、「ありあふもの」しか身につけずに夜濯ぎ、なんて、ありすぎて。