あいまいな時間

タクシーで鵠沼海岸から由比ヶ浜まで三〇〇〇円くらいだったけど、あの辺りの距離感がよく分かってなくて、近いような遠いような。真っ暗な海岸線沿いに走るのがいい。海って怖いよな、って。江ノ島のイルミネーションがその暗さに似つかわしくない不思議なものに見えた。ああいうのも、日帰りしないから見られる風景かな。

ホステルって、そんなに泊まったことないんだけど、というかご存知のようにゲストハウスとかって苦手なんだけど、価格がリーズナブルでなんか放っておいてくれる宿泊先と考えたらいいかもな、って思い直しているんです。あれもいろいろな時間が溶けあって過ごす場所というか。上手く言えないけど、「旅行」とくくれない時間なのかな。

人の家にいる感じもちょっとあって。自分へのご褒美でもないし「極上のひとときを」みたいなことでもないし。「暮らすように旅する」とかってコピーもあるけど、旅っていう感じでもないんだよな…。おもしろいから移動してるだけなんだけど、「生活の時間」も「仕事の時間」もいっしょに持ち運んでる、みたいな感じだったらいいな。

旅はあんまりしたくない。枕が替わると眠れないタイプだから。旅っていわれるとテンションが上がりすぎて疲れちゃう。思うのは、家や仕事の時間があいまいに溶けていったときに、「小旅行」みたいな移動の感覚をアップデートしていくと、あんまり旅が好きじゃないぼくにも別の風景が見えてくるのかなあ、って。どうでしょう。

小風景