さっちゃん

妻の妹(なんと妻にはかわいい妹がいるのです)が家に泊まりにきて、東京駅の〈グランスタ〉で買っておいた好物のウニの入った海鮮丼を、小さなキッチンに並んで食べている二人の顔を眺めている。

二人はちがうタイプの顔をしている。妻はお母さんによく似ているが、さっちゃんはそうでもない。さっちゃんは少し小柄で物静かで、いつもじっと考えているようで、もしかしたら不機嫌そうに見える。

それに、声がちがう。彼女は気怠そうで、ゆっくりとして、もしかしたら眠たそうな印象も与える。

それでいて、さっちゃんは俳優で、舞台で芝居をしたり踊ったりする。このあいだ、阿佐ヶ谷の劇場へ観にいったんですが、これがいい感じに青々しくて、ナンセンスの歯切れが良くて、とってもいいのです。

妻が二階に妹の寝床を作ってあげたのが、なんだか、おままごとをしているようで、お人形さんみたいに取り扱うのがおもしろかった。ああしましょうね、こうしましょうね、って、姉妹ってああなのかな。

それから、お風呂に入れさせたり化粧水の話をしたり、パジャマとフリースを着させたりiPhoneをアップデートしてあげたり、小さい家の中をけっこう年のはなれた女たちがうろうろしているから、僕は少し、娘のいるお父さんの居たたまれなさが分かった気がしました。

小風景