ベッドでカタカタしてから午後の外出(東中野の設計事務所まで)にそなえて半分眠っていた。半分は目の前にiPhoneを立て掛けてコロンビアの犯罪ドラマを見ていた。Netflixもそんなに見ていないから止めようかと思っていたんだけど、テラスハウスがまた始まるというので(軽井沢だっけ)それまでのつなぎとして有名な〈パブロ・エスコバル〉の伝記ものをこつこつ消化している。
頭の中がムーチョ・グラシアスなところへピンポンが鳴り、妻がパジャマのまま受け取ったのは大きなAmazonの箱だった。中からでてきたのはムーチョな緑色をしたゴム製のバケツで、昭和のショッピングバッグみたいな把手がついている。「なにこれ」「足湯ですよ」といってお湯を沸かしている。しばらくして、二人で靴下をぬいで、お湯で一杯になった、がばがばの桶に足をひたしてみた。
これはいい。カーテン代わりに掛けてある毛布の隙間から日差しの漏れるベッドルームで、届きたてほやほやのゴムの足湯につかる。いったいどこでこんな物を見つけてきたのやら、〈タブトラッグス〉というんだって。彼女は膝の上にMacを乗せてなにやら仕事をしている。わたしはコロンビアの残酷な記憶に戻っていく。自分が作らせた刑務所に自分で収監されて生き延びようとするって、へんなの。