ぼくの住んでいる家

ぼくの住んでいる家は、築四〇年になる墨田区の小さな戸建なんだけど、室内はリノベーションしたばかりで気に入っている。設備が充実しているというより、かわいらしい工夫があると思う。

入って一段上がったところがキッチンなんだけど、床に灰色の四角いタイルが敷いてある。壁も灰色に塗られていて静かな印象だけど、隣と仕切っているレトロな建具との取り合わせがおもしろい。

キッチンの作業台の青が目を引く。こちらも正方形のタイルが使われていて、この家でいちばんのチャームポイントと言ってもいいかもしれない。新しい感覚と古い物、どちらにせよかわいいもの、お金の都合と勢いが合わさって生まれてしまった、という感じがとてもいいと思う。

続きの和室だった部屋もおかしくて、壁を白くするくらいでほとんどそのままに、床だけが畳から紫のカーペットに張り替えてある。こう書くとテイストが分からないかもしれないが、すごく好き。

ダイニングと同じで計算したのかしてないんだか、まあ、なんとかなるだろう的なスタンスでなんとか成立させてしまうんだから、若い女性の施工管理者はなかなかの目利きなのかもしれない。

同じ一階にある洗面所はかわいいんだけど、とてもとても小さい。使ってみても実感としてきゅうくつですが、不思議なことにこんなバランスの家なので、こういうものなんだ、という気がしてくる。

つまり一つ一つの使い心地がどうというよりも、この小さくてかわいい変な家、というトータルで捉えているので、恋人は好きだけど鼻は取り替えてほしい、とはならないのと同じで、まずこのままで感じてみよう、という暮らし方になります。(つづく)

小風景