本を送っておいた古から連絡があったのがうれしかった。古と毎晩、学芸大学の〈あらちゃん〉で遊んでいたときのことが懐かしい。ぼくは三十五才だったけど、ふつうは働き盛りで少しでも這い上がろうと懸命に仕事をしていそうな年代に、お腹いっぱいになるまで遊んじゃった。あはは。ぼくはおっちょこちょいだから、あれがなかったらその後の人生で、もう一丁羽目を外してやろうと企んで取り返しのつかない打撃を受けていたはず。それになんとなく気づいていたから、今はもう、これでいいやと好きなように暮らしてたんだよ。あれは大正解だった。あの時に古がスケートボードを抱えている写真を見せてもらって、それを撮ったのが阿部さんだった。まさかその後、このフォトグラファーと二人で別府まで行くとは想像もしてなかった。本を作るとも思っていなかった。今から考えると、やっぱり古と遊んでいた頃の自分がいちばん調子よかったし動物みたいになっていた。新潟にいる古に本を一冊送って、メッセージがあってよかった。Amazonもよかったし本屋さんのメールもとてもよかったけれど、本がきっかけで人と縁がつながっているのが分かるのは、小さいようで大きい幸せだと思います。