遠い太鼓

わたしといえば、黄金週間であれ家で仕事をしてから近くのショッピングモールの食品売場とフードコート、そして書店へとエスカレーターの手摺につかまってお散歩するのみですが、いつからか忘れたけど「〇〇文庫の百冊」として村上春樹〈遠い太鼓〉がよく目立つ高さに飾られていた。いろいろある内でどうしてこの本なんだろう、と気に留めていたんだけど今日になって(考え事しながら周回していたので二回目の来店で)手にとって久しぶりに読んでみたら、あれは海外滞在記でしたね。だから、このタイミングで自分に関係ある本だったんだ、と気がついた。それから冒頭を読むと三七才からの三年間をヨーロッパを転々としながら過ごした、とあり、愛読者なら刷り込まれている「四〇才になったら後戻りできないかたちで自分が変わってしまう」という考えがここで披露されていた。年齢的にもぴったりという訳。だからといって教科書のように再読することはないけれど〈遠い太鼓フェーズ〉に足を踏み入れているじぶんを注意深く見ていきたいですね。あと実践的な話としてビザとかどうしてたのかな、と思った。家も借りていたようだ。

小風景