Housing 1

せっせと〈エルセリト・プラザ〉へ繰り出す。朝と昼に一度ずつ。午前中は丘にも上ってみた。斜面に眺めのいい部屋を設けた古い家が眩しい通り沿いに並んでいた。それらは無防備で、門戸や庭先の飾り付けは楽天的で遊んでいた。外国っぽいというよりは夢っぽい時間。気温二〇度くらいで、いつもの涼しい風が吹く。なにも厭なことない。一ヶ月のつもりでやって来て二週間が過ぎたが、思うに最初の頃の私は、銃で撃たれることを恐れ過ぎていたようだ。(心療内科の先生がいうから…)そんなことは起きない。だれも気にしてない。というか挨拶してくれる。家での生活にも買い出しにも慣れてきて、規則正しくなり、一歩外へ出ても東向島みたいなものだと思う。(もともと東京は十分にこの国に似て作られているから)道がやたらと広くて英語を話す人しかいない日本のどこかだと思えば、私たちとしては大した問題はない。インターネットがあるから日本語は好きな時に心ゆくまで読めるし、俯瞰して見られる分ちがう視点が出せるんじゃないかと思う。祖国を蔑むような気はまったくない。それどころか、こちらにいると「どれだけユニークな国かよ」とじぶんでびっくりするくらいだ。(「家」について書こうと思っていたけど話がちがう方向へ行ったので、つづく)

小風景