一晩眠って元の時間に戻ったかと思ったけど、まだ夜まで時間があるのにひどく眠い。東東京にあるこの家は夢みたいにくつろいでいる。最初、一ヶ月空けていた家ってどうなってるのかと思って開けたけど、なぜか埃も積もっていないし小虫もはびこっていない。むしろ微かにいい匂いが閉じこもっていた。なんというのか、建物の材料や洋服の洗剤や買いたての家電といった、この場の物たちが生来もっている好き香りの成分が抽出されたようだった。おかしかったのが二階の多肉植物で、さぞかし水をほしがっているかと思ったらまったく逆で、尖端まで瑞々しさに張り詰めているしすごく背が伸びていた。人が居ない日々のほうが伸び伸びできたみたい。空港からの車窓の緑にそんな予兆はあったかもしれない。しばらく間を空けて見てみると、植物がうるおってるなあ、ここ、と思った。草木にとってすごし易いんじゃないかなあって。この週末は想像していたより涼しくて、というか東京は寒い。けっこう新鮮な気分で、洗濯機をひたすら回している。
雨の日ハ
袷もほしや
隅田の夏
子規