私の最近のお気に入り

年を追うごとにつげ義春が体に沁みますね。
このダウナーな味わいがたまらないです。

ちょっと前に仕事がうまくいきだした時は、私も人生が加速していくような気分になり、ばりばり稼いで欲しいものは買って世界を広げていくぞ、なんて時期もありました。

けれども、しばらく後に気がつきました。私は生来、お金を使うのがそこまで好きではないと。
というかお金を使っている時より、使ってない時の方が落ち着く。サブスクもすぐ解約しがちだし同じ服を着ている。その性質は、自分が稼いでいようがいまいが変わらないのです。

また、私は生来、メンタルが弱いということにも気がつきました。というか、順番としては逆で、自分はメンタルが弱いということを深く理解したら、物事が上手く回りはじめました。

だから、今も心療内科に通っているし、一日のほとんどの時間をぼけっとしながら暮らしている。
たまに都会へ出かけたり、YouTubeをつい長く見てしまうと消費をあおられて疲れる。そんな弱い私には、年を追うごとにつげ義春が沁みるのです。

だいたい1987年から休筆しているというやる気のなさがうれしい。

そのわりにつげ義春の成分を欲している人は少なくないようで、この対談集も400ページある本が近刊で二冊目っていう、筑摩書房のやる気が伝わってきます。

今回も「一応、若手マンガ家だからトキワ荘に行ってみたけど、下町言葉が恥ずかしくて話せなかった」とか「休んでいた方が絵は上手くなる」という謎理論など、お気に入りのくだりが見つかりました。

まだ全部読んでないけど、目次をぱらぱらするだけで「無に戻る」とか「何も起こらない」とかにやにやしちゃうフレーズがでてきます。

小風景