サバンナの

サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい

穂村弘

図書館で穂村弘さんの短歌の本をいくつか立ち読みしていたら、一つの短歌を取り上げて紹介するのにわざわざ「その歌よりも良くない例」を作ってみせて比べるということをされていて、「これはいい人にちがいない」と思った。ふつうの先生は「その歌よりも良い例」を作ることになってるんだけど。俳句でもそうですが、僕は昔からこの「人の作品を作り替えて良くしてあげる」ことに微妙に納得がいってなかったので、なるほど、いいアイディアだなと思った。勿論、「先生が直してくれたらこんなに良くなった」という人もいると思います。ところで、〈サバンナの象のうんこ〉という響きに、僕はある世代的な匂いを感じるんだけど、なんだろう。消費文化的な軽薄さというのか、記号論的なポップさというのか(検索すればすぐ分かることを思いつきで書いてますが…)この感覚、すごい短歌っぽいと思う。「これこそが短歌だ」という感じすらする。

@hellofukei

小風景