そぼろとごぼうの

ケルンと京都と東京のハングアウトのミーティングを終えたところで、今夜はそんなに寒くない二階の机にいる。オイルバーナーで〈オークモス・アンド・アンバー〉という香料を焚いている。少しずつ学んでいるところだけど、香料にはいくつか愉しみ方があって、ぼくはキャンドルが好きなんですが、こんな風に、ビーカーの水に原液を溶かして揮発させるのもいい。はっきりと香るし、炎も眺められる。

このバーナーは銅の板を交差させたもので、そういえば、京都でいただいた開化堂の茶筒に手ざわりが似ている。どちらも手順があり、作法があり、時間のながれ方と精神に働きかけるところが似ていると思う。お茶と香料って、おもしろいと思う。

時差を考慮して水曜日のミーティングが夕方からになったから、過ごし方が変わったんだよね。昼が長くなったような感じ。といってもそこに何かを入れていくというよりは、ぼうっとしている時間が引き延ばされたような感じで、そのあいだずっと、プロレスの音が流れている…。むっちりした体がぶつかり合う音とマットの響きと、実況の声がしている。どこかにそういう惑星があるような気分になる。

午後二時ごろ、キッチンからフライパンの音がし始めて、ニンニクの風味がちょうどいい〈そぼろとごぼうの和風ペペロンチーノ〉ができあがった。たくさん食べたらすぐに眠くなってしまい、ぎりぎりの時刻に目が覚めた。お酢とハチミツをタンブラーに一杯飲んでから、ハングアウトにつないだ。黄金色になったビーカーの水を取り替えようと思う。

小風景