サンダルウッドの日

寒いし、雨も降っている。今日の香料はサンダルウッドがはっきりと残る。白檀、〈ディプティク〉でいえば〈Tam Dao〉みたいな感じだけど、つるっとしていて草の匂いはそんなにしない。

きのうの夜、もう眠ろうとする時間になって妻が作り始めたフィナンシェというお菓子が、朝起きたら大皿にいくつも並んでいた。このあいだ届いたリンゴを煮たのと一緒に焼いてあった。

ブレーカーが落ちないよう注意を払いながら湯を沸かし、紅茶をいれて二階に上がり、左手の指についたサンダルウッドにくらくらしながら右手でフィナンシェをつまんでいった。お菓子の朝ごはん。

こうして最初の一時間を過ごしたら、ベッドで足湯をして、あとは弛緩した時間が夕方の四時半くらいまでつづく。あっという間のことだけれど。今日はちょっと思い悩んでいてとくに早かったかも。

二月に伊勢のアトリエで、村田くんと妻が選ばせてもらった玲奈さんの絵をずっと眺めていた。なにかを書かなくてはいけないんだけど、それがなにかがわからない。一連の絵はほんとうにすばらしい。

これらは恐らくみんなが見たいものだと思う。それでも、画集では足りないとなんとなく感じる。なにかが書かれなくてはいけない。パズルみたい。いつもの謎々タイムを、サンダルウッドが盛り上げる。

小風景