年の瀬

今夜は豆腐とホタテのちょっとした鍋だった。鶏がらのスープに玉子がといてあった。豆板醤も少し入れるとよいとのことだった。塩もみしてお酢と砂糖と昆布で漬けた赤かぶもありました。

のんさんはお医者さんの日だったので、浅草で銀座線に乗り換えて神田の心療内科まで出掛けた。世の中は年末のおやすみまで「あとひと息」という雰囲気だった、と彼女は語りました。

会社勤めをしていると分かる気分なので、ちょっと羨ましいと思った。人間ないものねだりで、家に居て仕事をしていると「まとまった休暇があるのはいいなあ」と思う。分かりやすい心理だと思う。

今まで手の内にあったものがなくなってみると、欲しくなるし、ようやく手に入ったものがすぐに当たり前のように感じる。動物だから仕方ないかもしれないが、あたまに入れておくとよいでしょう。

僕は最近、同級生や友人たちが何をしているだろう、とぼんやり考えている。人と比べても仕方ないと分かっているが、四〇才になった年の瀬に、そういう形で来し方を振り返ってみたりする。

小風景