ものすごくうるさくて

めずらしく夜更かしをして眠り九時半くらいにインターホンの音で目が覚めた。この音ときたらものすごくうるさい。ものすごくうるさくて、ありえないほど近い、というような、そんな題名の本を前に見たことがあるけど、まさにそんな音だった。(その本がどういう物語なのか残念ながら一つも知らないのですが)ドローンの急襲を受けたようだった。いちばん優しい時間帯に、耳元でチャイムを鳴らすドローンが自信満々で飛来した感じ。開けると宅配便のおじさんで、よく知られている洋服のポータルサイトの大きな箱を置いていった。そのまま腹を立てながら準備をして、とりあえず冬のコートを着て電車で三〇分ほどのプールへでかけた。外はどうしたって着るものがしっくりこないような、春の近い温かさだった。戻ってくると、箱がまだ玄関にある。けれども、ガムテープが貼り直されている。一度開けて閉じたということで、彼女に聞いたら〈おまかせ定期便〉を試しにオーダーしてみた、とのことだった。欲しい服がなかったからぜんぶ送り返す、とのことだった。お金はかからないらしい。ふうん。そうかい、そんなものがあるのかい。

小風景