映画

気分転換に行ったソフィラ・コッポラの新作がよかった。地下鉄で行くと三越前がちょうどいい。コレド室町の15時10分の回。薄暗い夕暮れの森や、明かりの灯った暗い家の中の映像が印象に残った。美しい写真を幾つも眺めているようで、ああいう映画ならじっと座っているのが苦手でも落ち着いて見ていられる。昔の人は映画のこと「シャシン」って言ったりするけど、本当だな、なんて思った。あらすじは〈ヴァージン・スーサイズ〉にぴったり重ねられそうなもので、あの映画が好きならもう一度別の視点と美術で見直せるような、爽やかで気分のいい経験ができる。爽やかなのは森のミストがふんだんに映っているからかもしれないけど…。女が窓越しに覗いたり、家の階段の感じなど、処女作からそのまま移し替えたような表現がみつかった。そんなにハラハラさせない展開なのも好ましい。帰りの列車はこれから混み始める少し前、というタイミングで、ぽとぽとと音が鳴るような三月の雨の曳舟のホームが心地良かった。そろそろ衣替えしないと。

小風景