野分して

野分して
蟷螂を窓に
吹き入るる

漱石

「野分(のわき)」って台風のことですね。
「蟷螂(とうろう)」ってかまきりだよね。

ばたばたと風が吹いて、窓辺にかまきりが吹きこまれて来たって、野分の日らしい不穏さ。夏から秋への沈んだ、内省的な空気感もあって。けれども窓の縁に鮮やかな緑の虫のいるおどろきと、美しさと同時に異物感もあって。虫ってこういう現れかた、するよね。いつもの延長線上に「ぼくだよ」みたいな感じでスポーンする。これだけ同じ世界で暮らしていても未だにかれらの動機や形がよく分からない。蟷螂については……考えたくない。もうあれが神様のかたちってことでいいんじゃないか。

ぼくは夏目漱石の俳句が好きなので、また時々入れていこうと思います。あと、俳句じゃないけど翻訳をまたやってみようかな、と思っています。

@hellofukei

小風景