家一つ

家一つ建つと見るまにはや住める人がさえざえと秋の灯洩らす

安立スハル

あ、家が建つんだ、と思ってしばらくしたら、もう夜道にその家の明かりが灯っている。家があたらしいのと、秋の清新な空気がたまらなく切ない。そこに家庭があるっていうのがすごい切ない。こういう手触りも秋になると透明度が上がって。

家庭というものはこんな風に外から眺めると、時に神秘的で未知なるもののように感じられるけど、内から眺めてもやっぱり謎めいたところがある。どうしてこうなっているんだろう、と思わずにはいられないことがそこかしこに見つかる。いや、それはうちだけなんだろうか。みなさん整然としているんだろうか。うちの二階の床にはいつも防災袋がころがっているし、小さい蜘蛛がたくさんいる。益虫だからころしちゃいけないのだ。(かわいいと思うよう努めている)また、植木が伸びすぎているので、そろそろ鉢を取り替えてやらないといけません。

@hellofukei

小風景