小旅行、髪結新三

二晩くらい栃木の温泉に泊まりたかったけど火曜日の昼から国立劇場で〈髪結新三〉を見ることになっていたので、一泊してまた朝から列車に揺られていた。山あいから平野の街並へと馴染みのない風景がつづいた。北関東や埼玉と、東京の北区との関係性があんまり分かってない。赤羽から王子、山手線へ合流するころには切り立った崖の下を走っているのがおもしろい。あんまり行かないけれどあの辺りも独特の感じがありますね。「一泊くらいの小旅行」もあんまり行かないので、ちょっといいな、と思った。(さっそく次を調べはじめている)序幕にちゃんと間に合った〈新三〉は菊之助、梅枝、梅丸、団蔵と好みの人たちばかりでとてもよかった。気が付いたのは、長屋の大家の話だったんだな、ということ。歌舞伎ではあんまりないかもしれない。黙阿弥の目線で老獪な家主が描かれる、というのが新鮮に映った。お金を数えるパートはユーモラスでみんな笑っていた。あれ、家主をやっていたのだれだろう・・片岡亀蔵。松嶋屋で、市蔵の弟か。ふーん、なかなかにおいしい役でしたね。

小風景