Mill Valley

金曜日の夜からNikの家族に招待されサンフランシスコ北部の丘陵の住宅街に一泊したのです。見聞きすることが多すぎて仕事もあってこんな小文を書く時間もなかった。ベルリンから移住して一代で築き上げたワイン醸造家の邸宅すばらしかった。庭先にパインの巨木が育っていて。ご両親と新婚の妹さん夫婦に赤ちゃん一人と犬一匹、猫二匹、それに日本人二人で囲むベーグルの食卓は中々に壮観だった。かれらには日常の一つなんでしょうが僕らにとってはこんな世界ほんとにあるんだ、という感じで。会話も出自と教養が問われるような空中戦が開幕してほとんどついていけず。つかれちゃった。ただでさえ親戚の集まりって自国でもつかれるよね。日本だったら行かないタイプだから。「ひろくんは来ないのか」みたいな。そういえばニックがずっと「ニッキー」って呼ばれてて「これ友人の前だと恥ずかしいやつだ」と思った。洗濯機にあれを入れるなとか、車はちゃんと洗ってるのとか、ふつうに母さんに言われること言われてて微笑ましかった。ここでも出色の社交性を発揮したのはやはり〈Tea Sox〉で、言葉は関係なし。日本製の靴下まちがいない。妹のマヤさんは「紅茶」を手に取りすぐに履いて、そのまま新婚旅行のメキシコへ旅立っていきました。

小風景