洗い髪を

洗い髪を散らしたままで寝る夜のゆめにたまごの殻がかがやく

沖ななも

いいですね。うるおいがほとばしってますね。この短歌そのものが卵みたいにつるつるしている。もしくは、イメージとしては、サンリオ感というかキキララみたいな子たちが月夜の雲の上にぷるんと腰かけているところが浮かんだ。流れ星も。一角獣もいるかもしれない。スターダスト感、ぷらす湯上がり感もちょっとあるか。〈ゆめにたまごの殻がかがやく〉ってフックが浮かんだ時点でなにをしても良くなりそうだけど、〈洗い髪を散らしたままで寝る夜の〉が状況をセットして上手く作用しているのかもしれない。最初のほうで風景をふわっと伝えておいて、〈ゆめにたまごの〉から一気に駆け抜けるという感じでしょうか。いいなあ。お風呂からでてきた後の食卓とか、あとは眠るだけのサイドテーブルの灯りの下に、この一首をガラスの小物みたいに飾っておきたい。ちらっと愛でてから眠りたい。

@hellofukei

小風景