しんしんと

しんしんと冷房や椅子深くかけ

汀女

つよく冷房の効いている部屋で、ひとり沈潜していくようなおもむき。冷房ってたしかにそういうところがあって、家庭でもそうだけど会議室や地下鉄などの小さい空間、または美術館やホテルなどの広い施設にいると、時に効きすぎた冷房だけでトリップするような感覚になる。からだが冷えるのと同時に、意識も外から隔てられる。地上にいるのか地下なんだか分からなくなる。上の句からイメージするのは、箱の中においた椅子。腰掛けると、目の前にこんな山々の写真が飾られている。

そういう夏ならではの人工的な風景も、遠ざかるにつれて懐かしく感じられるんだろか。ずっと家のなかに居ても、気配から外界がお盆に入りつつあることが察せられる。都会にちょっとした空白、折り返し点。いくつかやらなくちゃいけないことが思い浮かぶし、旅行の準備も始めないといけないのだが、僕もすっぽり嵌まって一時停止している。

@hellofukei

小風景